慇懃無礼な奴と話をすると、納まりがつかないほど、腹の立つ事があります。

「俺だって、君と同じような話し方をしようと思えば出来るんたぜ。
ただ、君を不愉快にさせたくはないから、普通に話そうとしているのさ」
対等の立場にいる人に対してであれば、このように言ってやることもできます。
慇懃無礼な話し方をする人達は、意図的にやっているとしか思えないふしがあります。
それとも、単にその人の持つ性格なのでしょうか。

「なるほど、貴方なりに言い分があるわけですね。筋は通っているようにも見えますが……それにしても必死ですねえ」
目上の人や、大事な得意先の担当者に、このような言われ方をされても、感情を爆発させるわけにはいきません。
「ご理解を頂けないでしようか。私なりに熟慮を重ねた結果です」
「ふ～ん、そうなのですか。まあ、せいぜい頑張ってください」

『広辞苑』で「慇懃無礼」という言葉を引いてみると、
「うわべはていねいなようで、実は尊大であること」と、書かれています。

英語では以下のように表現されます。
disagreeably　polite　〔不愉快に丁寧、または、納得していない風で丁寧〕
端的に言い表していますが、日本語からの見地も深まります。
　　
While he appears to be polite on the surface，in reality he doesn'ｔ respect us．
〔表面は丁寧だが、その実は尊敬をしていない、見下げている〕
この表現は、『広辞苑』と同じです。世界に共通して、慇懃無礼な人はいるのでしよう。

「見識を広められれば、いつか貴方でも理解できる日が来ると思いますよ」
と、切り替えしてみたいのですが、残念ながら、それを言ったら大変な事になります。
そして、縁が切れない人たちに限って慇懃無礼なのであります。

人間社会、発する言葉は、TPOに対応して、使い分けの出来る技術が必要ですが、なるべくなら、心穏やかに行きたいものです。
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080513/24970